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ED

EDを迎えて

  • 池上正人
  • 2006-11-17

私は妻との交渉がうまくいかなくなってから2年間ほどは、悩み続けました。結婚生活ももう10年以上経っていましたし、特にそういう交渉がないからといって、妻も不思議に思うことはないと思っていました。
 しかしながら、結局のところは自分自身の重荷になっているのは疑いようがありませんでした。妻は私より10歳も年下です。私が老人になってしまったとわかったら、妻はどうするか……。寝る前になると、いつもプレッシャーで押し潰されそうになります。もしかしたら大丈夫かもと思って取り掛かることもあるのですが、どうしてもうまくいきません。そういうとき妻は、まるで自分が悪いのではというような顔をするんです。

一週間に一回、土曜日だけは勇気を試し、撃沈。それが2年間。一度は風俗に走ってみたこともありました。それでもダメでした。見ず知らずの女性に自分の恥をさらけだし、余計に打ちのめされただけです。
 そんな折、EDに関する認知度が高まってきて、テレビのCMなどでも放送されるようになりました。しかし当時の私は、自分の機能低下は心の問題で、薬うんぬんや病院うんぬんの話ではないと、無理矢理に思っていました。だからそういう情報が入ってきても、見て見ぬふりをしたものです。

そんな強情な考えを覆したきっかけは、50歳の誕生日でした。妻は仕事帰りの私に豪勢な料理を作って待ってくれていて、自分は飲めもしないのに、ワイングラスを二つ用意していたのです。今さらながら、妻のことが愛おしくなりました。でも、できなかった。せめてこんなときだけは……、と悔しさに泣きそうになりました。
 その週末、私は決心し、病院に行きました。知り合いに会いたくなかったので、少し遠くの病院を選びました。問診表を書き、採血をしました。先生には「こういうことは、奥さんとも相談した方がいいんだよ」と言われました。妻は一度「そういう薬が、あるんでしょ」と言ってきたのですが、私は「そんなんじゃない」とはねのけていました。この年になって強がるなんて、それこそ恥ずかしいことをしたものです。

EDには、陰茎海綿体とやらに直接注射をする方法などもあるようですが、私は幸い、薬が問題なく使用できるとのことでした。
 病院へ行ったことで、心も軽くなったのでしょうか。帰ったら妻にも打ち明けて、堂々と薬を服用したものです。効果てきめん。自分の力でなく薬の効果なんだと意識してしまうと、多少抵抗感は感じましたが、それができない悔しさに比べたら、小さなもの。
 EDに悩んでいる人は、とにかく誰かに相談をすることですね。病院でも、妻でも、友人でもいい。全ての場合で治療可能かはわかりませんが、原因もわからず悩んでいるだけでは、自暴自棄に陥ってしまうでしょう。
 私の場合、やはり精神的なものもあったのかもしれません。いざとなれば薬があるとわかれば、薬なしでも成功する場合が出てきました。
 今は結婚記念日が、楽しみです。
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