私はパソコンというものがからっきしできませんでした。携帯電話のメールを打つことさえ、私には頭の痛くなることだったのです。しかもハゲ。会社へのIT導入が決まると、私は失業の危機に瀕しました。毎日のように飲んで部下を怒鳴って、ガハハハと笑い飛ばしていた毎日は、見事消え去りました。
手書きだったのがキーボードを使わないといけなくなり、バーコード(ITっぽい?)だった髪は、もうバーコードリーダーでさえ読み込んでくれそうにありません。私は かつら を買うことを決心しました。タンスからへそくりを取り出して、電話帳を開き、かつら 屋を探したんです。しょぼくれた店でしたが、その中でもさらに格安なものを購入しました。テープで頭皮に装着するもので、家に帰ると何回も取ったり、外したりを繰り返しました。かつら をつけた状態で食卓へ行くと、息子が物凄く不愉快な顔で、私の顔(頭か)を見てきたものです。妻は「どこのおもちゃ屋で買ってきたの」とのたまう始末。それ以来、その激安かつら はお蔵入りになりました。
会社の都合で、私がノートパソコンを買ってくると、妻がどこで覚えたのかインターネット接続をしてくれて、色んなホームページを見せながら、私に「最近の かつら 事情」を教えてくれました。
とにかく既製品は、何もできないらしい。シャンプーするときは かつら を外し、かつら 自体は専用のクリーナーで洗わないといけない。水泳やスポーツなんかの運動をすると、とれてしまう恐れがある。見た目の自然さにも限界があるようだ。
よーく勉強した後で、私は大手メーカーにオーダーメイドかつら を作ってもらうことにしました。大手はさすがですね。カウンセリングなどというものがあって、頭皮や毛髪のチェック、どういった かつら が好みかなど、入念に聞いてくれます。貯金がごっそりなくなりますが、人生を取り返すと思えば安いもの。
はたしてオーダーメイドかつら は完成しました。出来上がるまでに1ヶ月程度も待たなければいけなかったのがあれですが、昨今の技術はすごいですね。まるで地毛のようです。大げさでなく、10年以上くらい若返った気持ちになりました。鏡を何度も何度も見て、その素晴らしさを実感したものです。貯金の塊が頭の上にのっかっていると思うと、気持ちも引き締まります。
ただ、やはり高価なオーダーメイドといえど、アフターケアは大変ですね。あと、かゆくなるのも難点でした。会社には隠せるわけもないので、その技術のすごさを堂々とアピールしました。この際、会社をクビになったって生きていけそうだ。おっと、それはちょっと大胆になりすぎかな。次はITです……。
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薄毛
かつら と私の進化体験
- IQ100
- 2006-11-17





